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島本理生・ナラタージュ

ナラタージュナラタージュ
(2005/02/28)
島本 理生

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あらすじ

壊れるまでに張りつめた気持ち。そらすこともできない二十歳の恋
大学二年の春、片思いし続けていた葉山先生から電話がかかってくる。泉はときめくと同時に、卒業前に打ち明けられた先生の過去の秘密を思い出す。今、最も注目を集めている野間文芸新人賞作家・初の書き下ろし長編。

ピカットの感想

少女漫画の瑞々しさを残しつつ、若さに似合わぬ端整な文章とピンポイントな人物描写が光る島本理生。この作品はそんな彼女の代表作。現在26万部のベストセラーである。
彼女はまだまだ若く、期待にそぐわぬ実力をつけつつあるのは確か。今回のピカットは長編恋愛小説「ナラタージュ」と「クローバー」を読んだのだが、どちらも妙に後味がいい。文章の節々にセンスの違いを感じるし、ジャンルの幅が広い。しかしこういった的確な描写をされると、あんな小説を垂れ流している自分が恥ずかしくてたまらなくなってくる。もっと精進せねば。

主人公核は一人。正直、主人公以外に魅力はあまりない。女性の描写は男性のピカットが読んでも強烈なリアリティーを感じるのだけど、葉山先生や小野くんといった男性の登場人物は正直良く分からないというか、得意の人物描写もずれてる感があるかな。男性の描写がどうかなと思うシーンも多々あるが、それさえ気にならなければ、きっと読了後、損な気分になることは無いだろう。

しかし、こういう作品を見ていると、小説で異性を描くという作業がいかに困難なことだかしみじみと実感せざるをえない。やはり異性から見て不自然であってはいけないし、かつ同性から嫌われるようなキャラクターであってもいけない。小説のなかで輝く存在でなければならない。
前述の通り主人公はとても魅力的なのだけど、周りを取り巻く人物にあまり魅力がない。だから舞台がどうしても安っぽく見える。あれほど秀麗な描写を持ちながら、なぜこうなってしまうのだろう。蛇足が多すぎるんだろうな。きっと。
次回紹介する予定の「クローバー」ではいい感じにその欠点が補われていて、いい感じになっているのだけど、このナラタージュという作品が持つ世界観には及ばない。


「お願いだから私を壊して!」

このセリフはすごい。なんで回想形式にする必要があったのかとか、小野君がやけにきな臭いとか、前半の不満を一気に吹き飛ばしてくれた、後半の盛り上がり。
話の最初のほうでもう葉山先生とは違う別の男性と結ばれるということは分かってたのだけど、それにしてもその破壊力には驚かされる。この破壊力は若さゆえなのか。。

きっと、今まで丹念に丹念に描写してきてるからなんだろうな。この作家は描写が丁寧なので、後半の盛り上がりに余りはずれがない。終わりよければ全てよし。

ところで、この作品がモチーフとしているのは決して幸せな恋ではない。だが、世界に存在する95%程度の恋愛は必ずしも充足しているとは言えず、不幸せな面の方がずっとずっと目立っている。すれ違いばかり繰り返しているカップルだって、世界にはたくさん居るはずだ。
20歳。モラトリアムの終わり。自分の姿を確認するために好きな相手にしがみついている。そんな脆さから彼女は飛び出して、ようやく大人へのステップを踏み出していく。この物語はこういう話でした。


※)作者が若いだけあってさすがにファッション系の描写が多いです。これでファッションにもっと詳しかったら面白みも増したのかもしれません。自信がある方はぜひ。
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